ミスミソウ 第11話 あらすじネタバレ
【第11話】
雪の降りしきる中、春花は妹の祥子の見舞いに向かっていた。
町外れの雑木林に差し掛かる頃、それは起こった。
パシュッ!
何かが春花の顔のすぐ横をかすめた。
ボウガンの矢だった。
春花は素早く逃げ出した。
放火に関わった者のうち、すでに4人が姿を消した。
これを春花の復讐だと確信した真宮裕明(まみやひろあき)と池川努(いけがわつとむ)は、自分が殺される前に春花を殺すことを決意。
2人は春花の後をつけ、人目につかない雑木林に差し掛かったところでボウガンで狙撃した。
逃げた春花を追って、2手に分かれた。
春花を追いながら、努は春花が転校してきた日を思い出していた。
努にとって春花は高嶺の花だった。
自分では春花と釣り合わない。
そのもどかしさがいつしか憎しみに変わり、ついには存在を疎ましくさえ思うようになっていた。
裕明が春花を挑発する。
「放火したのは俺たちだ。
家族の仇を討ちたくないのか!」
それを聞いたのか、春花は足を止めた。
その隙をついて、努が春花を馬乗りに抑え込む。
僕を拒絶したことを後悔しろ!
ナイフを振りかぶり、春花に突き立てようとした。
だが、一瞬早く春花の反撃が届いた。
努の鼻にハサミを突き立て、断ち切ったところに、さらに深々と突き刺した。
絶叫する努の声に駆けつけた裕明は、ボウガンを放った。
しかし、矢は春花には当たらず、苦痛でよろけた努の頭をかすめた。
努は錯乱状態に陥り、春花との区別もつかず、裕明に喚き寄った。
裕明も狼狽し、努を乱暴に振り払う。
努はその勢いで、致命傷となり息絶えた。
春花はその隙を突いた。
無防備となった裕明の腹部をナイフで深く切り裂く。
臓物がはみ出した。
裕明は痛みにも構わず、死に物狂いで逃げた。
こんなはずじゃなかった……!
無我夢中で逃げた先で、裕明はとんでもない失敗に気づく。
足元を見ると、そこは薄く氷の張った沼の上だったのだ。
裕明の体重でヒビが入る程度の厚みしかない。
かろうじて立っている状態だった。
ズドッ!
裕明の背中にボウガンの矢が突き立つ。
岸から春花が撃ったのだ。
裕明は絶望の中で氷の下に沈んでいった。